The Great Con-ola, Japanese Translation

キャノーラのまやかし

サリーファロンとメアリー・G・エニグ博士

Translation by Katsumi Yamada
Original English Version
キョ ノーラ油は「もっとも健康的なサラダ油でありクッキングオイルであると一般に認められている」。この油はナタネを交配して開発された。菜種油はエルシン酸 という有毒成分が多いため毒物である。キャノーラ油は、微量のエルシン酸しかなく、オレイン酸が豊富で飽和脂肪が少ないため特に心臓病予防に適している。 オメガ3脂肪酸の量も多く健康に良い。これが食品業界がキャノーラ油について言っていることだ。

キャノーラ油は毒物で工業用であり人体用ではない。悪名高い化学兵器であるマスタードガスとヘマグルチニンおよび砒素を含有する有毒グリセリドで、これらは狂牛病を引き起こし、失明、神経障害、血球凝固、免疫系の抑制などを起こす。

消費者は、このキャノーラ油の相反する主張をどう判断したら良いだろう。キャノーラ油は夢の油なのかそれとも猛毒なのか。何故キャノーラは加工食品に使われる油の中でも群を抜いて多く使われているのか。

隠れた歴史

簡単な歴史を紹介しよう。時は1980年代中期食品業界は問題を抱えていた。

全米心臓病協会、政府関係部局、主要大学栄養学部が共同で血管を塞ぐ飽和脂肪に変えてポリ不飽和脂肪を使うことを密かに推進してきていたが、このポリ不飽和油、特にコーン油と大豆油は様々な健康障害特に癌を含む病気の原因になっていることが徐々に明らかになってきた1。

業 界は苦境に立っていた。有害である証拠がたくさん出てくる中で、液状ポリ不飽和油を大量に使い続け健康的であるということは言えない状態になっていた。か といって、バター、ラード、タロー、パーム油、ココナツ油といった健康的伝統のある飽和油脂に戻ることは大変な反響を呼び起こす。まして、過当競争気味の 僅かな利幅ではこれらの油脂はコストが高すぎる。

こ の解決策は、オリーブ油のようなもの不飽和油を使うことだった。オリーブ油は、コレステロール値や血液指標でポリ不飽和油よりも良いことを示す研究が多 かった。それにアンセル・キーなどの心臓病に良いダイエットを推奨する人たちが太陽がいっぱいの島々を背景に気楽な暮らしを交えたオリーブ油をたくさん 使った地中海のダイエットが心臓病を予防し健康長寿をもたらしているというイメージを一般化していた。

国立心肺血液研究所(NHILBI) は、 第 一回モノ不飽和学会をフィラデルフィアで開催した。この会議に議長は、多作家でコレステロールと動物性脂肪が心臓病を起こすという理論の擁護者であるス コット・グランディだった。出席者には、ユニリーバなどの食油業界がいた。第二回のモノ不飽和学会は、メリーランドのベセスダで1987年に行われた。グ ランディ博士の他にNHILBI所長のクロード・レンファンとプロクター&ギャンブル社で長く勤めたフレッド・マットソン、そして後にトランス脂 肪酸の問題を研究し出版したオランダの学者マルチギン・カタンが出席した。一般紙にオリーブ油の良さが賞賛されるようになったのはこの頃である。

歴 史のあるオリーブ油を推進したほうが近代的ステンレスのプレス(圧搾機)で しか絞れないコーンや大豆油よりも健康意識の高い消費者にとっては科学的に聞こえるだろうと思えた。業界にとっての課題は需要に応えるほどのオリーブ油が ないことだった。それに、オリーブ油は加工食品に使うにはバターなどほかの伝統油脂同様非常に高くつく。業界は、安いモノ不飽和油を必要としていた。

ナ タネはモノ不飽和油で中国、日本、インドなどで広く使われてきた。約60%(オリーブ油は約70%)がモノ不飽和脂肪酸である。ただし、その2/3はエル シン酸、ケシャン病という心臓の繊維性病変に関係する炭素22個のモノ不飽和脂肪酸だった。1970年代後期にカナダの育種家が種子分割の遺伝子操作2で 炭素22のエルシン酸が少なくて炭素18のオレイン酸が豊富な品種を開発した。

この新しいオイルは低エルシン酸ナタネからLEARと呼ばれ るようになった。しかし、アメリカではあまり売れなかった。1986年にカーギルが、LEARナタネをアメリカの農民に販売すると発表し、ノースダコタに あるリバーサイドの工場に製油施設を作ったが、価格が暴落して農民は打撃を受けた3。

LEARの売り込み

LEAR をポリ不飽和油に代わる健康油として推進するには、新しい名前が必要だった。この新しいシンデレラ作物にナタネとかレアというのでは、健康イメージが湧き にくい。それで業界が1978年に決着したのが、ほとんどの新種ナタネがカナダで生産されたことからカナダのオイルを縮めてキャノーラだった。 Canola” はcan do(できる)とかpayola(リベート)とも聞こえ、どちらもマーケティング業界では「吉」の言い回しだった。しかし、この名前が一般的に使われるよ うになったのは1990年代になってからだった。

カナダキャノーラ会議にとっての最初のハードルは、アメリカ食品医薬品局のGRAS(全般 的に安全と見做せる)格付けがないことだった。アメリカで販売するには規制の変更が必要だった4。これがどのようにして行われたのかは明かされていない が、1985年にGRAS格付けが与えられた。カナダ政府はこれに5000万ドル払ったといわれている。

キャノーラは、ジャンクフード市場 ではなく、増え続ける健康志向の消費者が対象であったからテレビコマーシャルよりも巧妙なマーケティング手法が要求され た。業界は飽和脂肪が少なくモノ不飽和が多いキャノーラ油にびったりの科学を見出した。さらにキャノーラには、体制側の栄養学者の最も新しい発見であるオ メガ3脂肪酸が約10%ある。オメガ3脂肪酸がアメリカ人の大部分に欠乏しており、心臓と免疫系に良いということが示されている。課題はこの夢の油を教育 のある消費者に受けるように売り込むことだった

キャノーラ油は、アンドリューー・ワイルやバリー・セアズといった流行の健康書の著者などの レシピに現れ始めた。手法は、地中海ダイエットとオリーブ油を書中で賞賛し、レシピの中でオリーブ油又はキャノーラ油を使うことだった。出版界のある情報 提供者によると1990年代中期から大手出版社ではレシピでキャノーラを使っていないのは採用しなくなってきたという。

1997年には、ハーパー・コリンズ社がアルテミス・シモポウロス博士とオメガ3脂肪酸.5の 健康効果を謳った料理本を出す契約をした。シモウポウロス博士は、小児科医で国立衛生研究所の栄養連絡委員会の議長を9年務めその後遺伝子、栄養、健康セ ンターの所長になっている。彼女は、オメガ3脂肪酸について論文を何本か発表して、農業の工業化によって食材からオメガ3脂肪酸が消えつつあることに注意 を喚起している。もっとも有名な論文が1992年の「臨床栄養学会誌」に発表され、スーパーで売られているコーンで飼育した鶏の卵と放し飼いで様々なもの を食べている鶏の卵の持つオメガ3脂肪酸を比較している6 。自然な卵は、スーパーのものに比べて20倍ものオメガ3脂肪酸が含まれている。

シモポウロスの「オメガ・プラン」が1998年に発行され1999年に「オメガ・ダイエット」として再発行されている。この本では、地中海ダイエットのモノ不飽和脂肪酸とオメガ3脂肪酸の特徴を論じている7。 キャノーラ油にはモノ不飽和脂肪酸がたくさん含まれているばかりでなくオメガ3脂肪酸も多いためほとんどの料理本のレシピに現れるようになった。シモポウ ロスは、地中海ダイエットが飽和脂肪が少ないと言い、脂のない肉と低脂肪ヨーグルト、低脂肪乳を食事の一部としてとるよう奨めている。

Empty canola oil cans

Empty cans of canola oil in an alley behind a Chinese restaurant. In China, lard was traditionally used for frying.

中華料理店の裏通りにあるキャノーラの空き缶。中国の伝統では炒め物にラードを使ってきた。
学 会、高所得層の消費者向けの本「オメガ・ダイエット」や新聞や雑誌の健康欄に記事を乗せるというキャノーラ業界の手法は成功した。1990年 代後半にはキャノーラの消費量はうなぎのぼりとなりアメリカだけでなく、今では中国、日本、ヨーロッパ、メキシコ、バングラデッシュ、パキスタンが大量に 買い付けている。キャノーラは、乾燥地帯でも良く育ち、オーストラリアやカナダ中西部では中心的換金作物になっている。グルメや健康食品市場で一品となり 一般のスーパーの商品群にも登場した。ステロールの入ったマーガリンやパン用としてコレステロールを下げる油として一般に使われている。フライ用として水 素添加キャノーラの利用も特にレストランで増えている。

危険性の誇張

菜 種油の危険性を訴えるものがインターネットに散見されるが、これの多くはジョン・トーマスが1996年3月/4月号のパ-セプション誌に書いた「失明、狂 牛病、キャノーラ油」という記事に基づいている。中には馬鹿げたものもある。ナタネはアブラナ科のカラシナ族ではあるが、化学兵器で使うマスタードガスの 原料ではない。

ブロッコリー、ケール、キャベツ、カラシナ等ほとんどのアブラナ科植物には、グリコシド(配糖体)又はグリコシノレイト(加 水分解で糖を生成する成分)がある。硫黄(砒素ではない)も 含んでおりこれがマスタードや十字科植物にピリッとした辛味を与えている。これらの成分は甲状腺腫誘発物質で調理するか醗酵させて中和しなければならな い。ナタネ飼料はグリコシドの含有量が高いので大量に家畜の餌として使うことが出来ない。しかし、育種家の努力でグリコシドとエルシン酸をキャノーラ油か ら減らすことに成功している。その結果低グリコシド飼料として家畜の餌に使えるようになっている。実は、キャノーラは家畜飼料としてカナダの重要な輸出品 なのだ。

血液を凝固し成長を抑制するヘマグルチニン(血球凝集素)が種子の蛋白部分にあって、油中には微量だが検出される。キャノーラ油は牛にある種の病気を起こしやすくするかもしれないが、イギリスの狂牛病の流行の原因ではない9

全 ての油脂同様菜種油も工業的に使われている。殺虫剤、潤滑剤、燃料、石鹸、合成ゴム、インクとして使える。亜麻仁油やクルミ油のようにワニスとしても使 える。伝統的油脂であるココナツ油、オリーブ油、タローも工業的用途もあるが、だからといて人が食べて危険だということにはならない。

キャノーラへのアレルギーの報告はある。その症状には、震顫、震え、しびれ、運動障害、言語のもつれ、記憶障害、目のぼやけ、排尿障害、手足の痺れやピリピリ感、不整脈があり、キャノーラを止めることで症状が消える。しかし、医学誌でこれが報告されたことはない。

ロバート・L ・ウォルク教授(www. professorscience.com)は、ワシントンポストにこれらの報告を出している出版社に対して「奇病についてヒステリックな都会の伝説」10を広めるものだと非難している。業界はこの種のでたらめな主張を歓迎している。というのは、間違っているので簡単に排除できるからだ。

それでも、消費者が業界の寵児であり、日々利用した製品が増え続けるこの油に用心しなければならない理由が間違いなくある。

研究

「一 般のナタネと区別されている今日の低エルシン酸キャノーラ油が人に有害であるという調査研究は一つもない」とウォルクは言う。その理由は、キャノーラ油が 全般的に安全と見做せるGRAS 格付けを得ているにもかかわらず、長期間の研究は一つもなされていないからである。

低エルシン酸菜種油の動物試験は最初に開発されたときに行われており現在も続いている。その結果は、健康的であるという主張を疑わせるものであるばかりでなく、心臓ダイエット仮説の理論的土台をも崩しかねないものとなっている。

こ の新油に関して最初に発表された研究は、オランダのユニリバー研究施設で1978年に行われた。業界は当然のことながらLEAR オイルが実験動物に心臓障害を起こすかどうか知りたかった。初期の研究では、動物に高エルシン酸菜種油を与えており成長の遅れと様々な臓器に望ましからざ る変化、特に心臓に見られ、これがいわゆる「エルシン酸危機」を巻き起こし、植物遺伝学者に新品種の開発を促した。このLEAR研究の結果は、複雑なもの だった。遺伝的に心臓障害を起こしやすいものを選抜したラット群では、オリーブ油やひまわり油よりもLEAR油や亜麻仁油のほうが心臓障害を起こしやす く、研究者たちはLEAR油と亜麻仁油の(エルシン酸ではなく)オメガ3脂肪酸がその原因ではないかと疑った。だが、心臓障害に強いものを遺伝的に選抜し たラットの群では、4つの油で全く有意な違いが見られず、マウスの試験でも高エルシン油が重度の心臓壊死を誘発したのに対してLEAR油は心臓障害が起こ らなかった。

1979年には、カナダ食品の化学と技術研究所が4ヶ所の独立した研究所で行われたラットの23の研究を集めた。全ての研究で LEARと他のオイルを心臓病への影響を調べている。飽和脂肪(パルミチン酸とステアリン酸)が心臓傷害を防ぐのは見出しているものの、高いオメガ3脂肪 酸レベルも障害多さと関連しているのが分った。それに比べれば心臓障害とエルシン酸の関係は薄いものだった。12

1982 年には、同じ研究グループが飽和脂肪とLEAR油、 大豆油との相互反応を調べて発表している。ココアバターの形で飽和脂肪が食事に加えられると、どちらの群も成長が良くなり心臓障害が著しく減少した。これ らの結果は、雄ラットの心筋損傷は、「油中の心臓毒汚染によるものというよりも食事中の脂肪酸のバランスに関係しているという仮説を支持するものになって いる。」と筆者は言う。13

カナダの研究者は1997年に再度LEAR を調査している。その結果、ミルクの代わりにキャノーラ油ベースの代用乳を与えられた子豚は、代用乳に十分な量のビタミンEがあるにもかかわらずビタミンE欠乏の症状を呈した14。 同じ量のビタミンEを強化した大豆油ベースで作った代用乳の場合は、ビタミンE の補強を必要としなかった。ビタミンEは、フリーラジカルによる細胞膜の損傷を防ぐ力があり心臓血管系の健康にとって重要なものである。同グループは 1998年 の論文で、キャノーラ油を与えられた子豚は血球数が減少していることと血球が大きくなっていることを報告している。キャノーラ油と菜種油を与えられた子豚 の飼育期間は長くかかった。この変化は子豚の餌にココアバターとかココナツ油の形で飽和脂肪酸を加えることで緩和できた。これらの結果は一年後の別の研究 で確認された。キャノーラ油は、血球数の正常な成長に伴う増加を抑制することが分った。16

最後に、カナダのオタワにある健康研究と毒物研究部が行った研究では、高血圧と心筋梗塞の傾向を持つように選抜育種されたラットに脂肪源としてキャノーラ油だけを与えた場合寿命が短くなった17。これら後期の研究は、細胞膜を硬くする”オイル中のステロール成分が犯人であることを示唆しており、動物の寿命を短くしている。.18

研 究はどれも同じ方向を示している。つまり、キャノーラ油は、心臓血管系には明らかに有害であるということだ。先祖であるナタネのようにキャノーラ油は、心 臓の繊維損傷に関わっている。また、 ビタミンE欠乏症、血球への好ましくない変化、そしてキャノーラ油だけが油脂の供給源である場合心臓発作の傾向のあ るラットの寿命を短くするのと関わっている。また、成長を遅らせる可能性があり、それがFDAがキャノーラ油を調製粉乳に認めない理由である。飽和脂肪が 加えられるとキャノーラ油の好ましくない影響は緩和される。最も興味深いのは、キャノーラ油の問題はエルシン酸ではなく高濃度のオメガ3脂肪酸と低レベル の飽和脂肪に関係していることを多くの研究が示していることである。

伝統食の中の菜種油

中国、日本、インドでは何千年も菜種油が使われてきている。セレニウム不足のある地域では、菜種油を使うことがケシャン病という心臓の繊維欠損が頻発することと関連がある20。 20年 間に及ぶ動物実験では、欠陥食に菜種を使った場合ギー、ココナツ油、ラードなどで飽和脂肪が適度にないと有害な影響は倍増する。健康的な伝統食では、飽和 脂肪菜種油、特に菜種油のエルシン酸がある場合問題は起こらない。それどころかエルシン酸は副腎脳白質ジストロフィー消耗病の治癒を助けるしローレンゾの オイルでは魔法の成分でもある。

未加工の菜種油にある高レベルのオメガ3脂肪酸も、食事中に十分な飽和脂肪があれば問題にはならない。 1998年の研究は、適正な飽和脂肪のある食事がオメガ3脂肪酸を長鎖型のEPAやDHAに体内で変換する。これが本来18炭素のオメガ3脂肪酸を人体が 処理する方法でもある21。市販の植物油(特に大豆油)では、飽和脂肪がなくてオメガ6脂肪酸が多い場合は、この変換が40-50%も減少する。キャノーラ油の動物実験では、飽和脂肪がある場合オメガ3の有害な影響を緩和している。

1995 年 のウォールストリートジャーナルに載った記事によると、菜種油を使った調理とその蒸気を吸った女性の肺がん発生率の著しい増加には関係があると報告されて いる。ここでもまた食事中の飽和脂肪の不足で説明できると思われる。というのは、肺は適正量の飽和脂肪がないと機能しないからだ。インドでは何千年も菜種 油を調理に使ってきたが、近年飽和バターやギーを避けなさいという考えが吹き込まれている。今では多くが、大豆油を一部硬化して作った模造ギーであるバニ スパティを使うようになっている。

加工

ナタネは、種から簡単に絞れるので油の供給源として使われてきた。種子は一度調理して絞る。中国とインドでは、ナタネ油は、石のプレスを持った無数の油売りが低温で絞った油を売り歩く。この商人が主婦に売るものは極めて新鮮だ。

近 代の搾油は全く異なっている。油は高温機械プレスと溶剤抽出を組み合わせて取り出される。溶剤(通常ヘキサン)は、かなりの回数精製を繰り返しても微量残 留する。現代の全ての植物油同様キャノーラ油も強烈な精製、漂白、デガム処理がなされる。どの工程でも高温か安全性の疑わしい薬剤が関わる。また、キャ ノーラ油は、酸素や高温で簡単に酸化して不快臭を放つオメガ3脂肪酸が多いので、消臭しなければならない。標準的消臭工程でオメガ3脂肪酸がトランス脂肪 になって大部分が失われる。カナダ政府は、キャノーラ油のトランスは最低限の0.2%と記載しているが、ゲインズビルにあるフロリダ大学の研究によると市 販液状オイルには24、4.6%も含まれていることが分った。キャノーラ油のトランス脂肪酸があることは、表示がないので消費者には知る由もない。

キャ ノーラ油は大半が水素添加工程で硬化されているが、その過程を経るとトランス脂肪酸のレベルは40%近くまで高まる。キャノーラ湯の水素添加は実にうまく 行く。コーン油や大豆油とは比べ物にならない。その理由は近代硬化法はオメガ3脂肪酸を水素添加しやすくキャノーラ油はオメガ3が豊富だからだ。トランス が多いことは、棚持ちが良くなり、クッキーやクラッカーのサクサク感が増すのだが、消費者にとっては慢性病の危険性が増えることを意味する。26

 

食用油の加工プロセス

edibleoilflowchart

モノ不飽和の迷信

消 費者がキャノーラ油を受け入れたことは、全ての伝統食品をコーン、小麦、大豆、ナタネから抽出したもので模造品を作りあげ置き換えてゆこうという目標を 持つ食品加工業界にとって一連の勝利を象徴するものである。キャノーラ油は、ポリ不飽和コーン油や大豆油の推進がいよいよ困難と決まったときに訪れた救世 主だった。学者にとっても、「心臓によく」、飽和脂肪が少なくてモノ不飽和が多いうえオメガ3脂肪酸の供給源でもあり良心に痛みを感ずることがなく支持す ることが出来た。

しかし、キャノーラ油のオメガ3の殆どが脱臭加工の段階でトランス脂肪に変わってしまう。飽和脂肪が必要で大変予防的であることを証明する研究は続いている。

少 なくともキャノーラ油はオリーブ油(従って無害)の ようにモノ不飽和脂肪酸の供給源であるということはいえる...?のかどうか? モノ不飽和脂肪酸は適量であれば伝統食の範疇では無害といえる。では健康 意識の高い市民がモノ不飽和脂肪だけを取ろうという近代食の中ではどうだろう。モノ不飽和脂肪を採り過ぎると、それも主流のものは問題であることの指摘が ある。オレイン酸(オリーブ油やキャノーラ油のモノ不飽和脂肪酸)の過剰は、細胞レベルでのバランスを崩しプロスタグランジンの生成を阻止する27。最近の研究ではモノ不飽和脂肪の摂取と乳がんのリスクが高まることの関連性が言われている。28

モノ不飽和脂肪酸が心臓に良いという学説も怪しくなってきている。1998年の報告によると、モノ不飽和脂肪が入ったえさを与えられたマウスは飽和脂肪の入った餌を与えられたものよりアテローム性動脈硬化症になりやすいという29。実は、モノ不飽和脂肪を与えられたマウスは、ポリ不飽和脂肪を与えられたものよりも心臓病にかかりやすかったのだ。

こ の意味するところは、「オメガ・ダイエット」で推奨されているような保護する飽和脂肪が少ないのをオメガ3脂肪で補い、大半の脂肪カロリーをオリーブ油や キャノーラ油からのモノ不飽和脂肪酸に頼る食事では、実際には心臓病が増える可能性がある。このようなダイエットを実に巧妙に浸透させてきたが、私たちは それが食品会社のpayola(リベート)であり、庶民を欺くcon-ola(詐欺ー油)であることを知っておく必要がある。

References

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追記

脂肪酸

飽 和脂肪酸 は炭素原子がつながり全ての結合手に水素があるもの。食品では通常4-22炭素長。構造的に直線であるため、飽和脂肪酸は固まりやすく常温で固体であるも のが多い。バター、タロー、スイット、パーム油、ココナツ油が飽和脂肪酸が多いため飽和脂肪と分類されている。飽和脂肪は、調理などの過熱をしても安定し ており悪臭を出さない。

モノ不飽和脂肪酸は、炭素鎖に二価結合が一箇所あるので水素が2個少ない。通常16-22炭素長。二価結合部は構造 的によじれや曲がりがあるため飽和脂肪ほど固まりやすくない。モノ不飽和脂肪は常温では液状だが冷蔵庫では固まる。オリーブ油、ピーナッツ油、ラード、ナ タネ、キャノーラがモノ不飽和。最も一般的なモノ不飽和脂肪酸は、パルミチン酸(16炭素)とオレイン酸(18)とエルシン酸(22)。モノ不飽和油は比 較的安定しており料理に使える。

ポリ不飽和脂肪酸は、 二価結合が二箇所以上あるもの。二価結合部はよじれや曲がりがあるためこの脂肪酸は固まり難く低温でも液状が多い。ポリ不飽和油は非常に不安定で調理など で熱や酸素にさらされると有害なフリーラジカルを発生しやすい。大豆油、紅花油、ひまわり油、亜麻仁油がポリ不飽和油。オメガ6脂肪酸は、最初の二価結合 が炭素鎖の終端から6番目の炭素にあるもの。最も一般的なオメガ6脂肪酸はリノレン酸で人体では作れないため必須脂肪酸と呼ばれる。オメガ3脂肪酸は最初 の二価結合が終端から3番目の炭素にあるもので一般的なのはEFAアルファ・リノレン酸。脂質専門家の間の了解ではアメリカの食事にはオメガ6脂肪酸(市 販植物油に多量にある)が圧倒的に多くオメガ3脂肪酸(内臓肉、自然な魚、放牧鶏の卵黄、有機野菜、亜麻仁油)が足りない。オメガ6の過剰とオメガ3の欠 乏は免疫系の機能を抑制し体重が増え炎症を起こすことが分っている。

インド:大豆油対ナタネ油

ア メリカの加工食品では大豆油がキャノーラ油に代わっていっているが、インドでは伝統的なナタネ油が大豆に取って代わられている。インドの著述家バンダナ・ シバは「奪われた収穫(Stolen Harvest)の 中でアメリカの工業生産された大豆油が大部分のインドで伝統的種子油に取って代わっているという。インドではそれぞれの地方で独自の食用油が調理に使われ ている。北東部ではナタネ油、西部ではピーナッツ油、デカンではごま油、ケレラではココナツ油。ナタネ油やマスタード油は少量で売られており使うたびにガ ニスという小さな圧搾機で絞る。油絞りは大勢の熟練工に仕事を与え主婦には新鮮な油が手に入るようにしてきた。油粕は家畜(悪影響はない)に与えられてい た。マスタード油は蚊よけや汚染のない灯油としても使われた。

大 豆油が自由貿易でインドに入ってきて数ヵ月後、ナタネが不可解な混ぜ物によって大勢のインド人が水腫に罹った。政府は全ての包装のない食用油の販売を止め させたため家庭や集落での油絞りはなくなってしまった。食用油の生産は完全に工業化され個人の加工は犯罪になった。大勢の労働者が職を失い何百万のインド 人が健康な油を失った。市場では安い高精製の大豆油があっという間にナタネ油を駆逐した。この危機の間、アメリカ大豆協会は大豆の輸入を「解決策」として 強要した。「US農民は新たな大規模輸出市場が必要だ...」とあるビジネス誌は伝えている。「インドはおあつらえ向きだった。」成長は、小さな地元経済 の重要な経済活動を強奪して達成された。

 

遺伝子組み換えキャノーラ

遺伝 子操作によって作り出された最初の種子油であるキャノーラは、ほかの種からの遺伝物質を種子に挿入して特定の形質をもたらす様々な遺伝子操作プロジェクト の中心でもあった。全キャノーラのなかでも除草剤耐性GMOキャノーラが大きな割合をなすに至っている。弁解者は、FDAと全米栄養学会がGMOキャノー ラは栄養的にも環境的にも安全でGMO品種は除草剤の散布が少なく農薬浸透が減り農民への恵みであると保障したためだという。

パーシー・ シュマイザーは、GMOキャノーラが農民の恵みではないことを辛い思いをして知ったサスカッチェワンの3代目農家である。モンサントの特許GMキャ ノーラの花粉が隣の農場から彼の農場に吹き込んだー穀物とは違いナタネとキャノーラは風て花粉が飛ぶ。そしてモンサントの「遺伝子ポリス」が彼の農場に侵 入し断わりもなく種子のサンプルを取った。シュマイザーは除草剤をまかなかったので、カナダの裁判所は彼がモンサントのGM技術を利用したと判断して $10,000 を使用料として、$75,000 を1998年の収穫からの利益として支払うよう命じた。

一方、遺伝子エンジニアは、キャ ノーラを「もっと栄養的にする」ために脂肪酸分布の飽和脂肪を減らしモノ不飽和を増やすプロジェクトに関わっている。そして加工した油のトランス脂肪酸の 量を減らせるといっている。おそらく脱臭しなければならないオメガ3脂肪酸の量が減るからと考えられるが、彼らが成功したとすれば、脂肪酸の大部分がモノ 不飽和という食事を作り出せるかもしれないが、世界のどこの伝統食にもなかったものだ。(エリック・ピーターズ「キャノーラを彼らに」ワシントンタイムス 2002年4月29日より)

この記事は2002年夏のWeston A. Price基金の季刊誌Wise Traditions,に初めて登場した。

Sally Fallon Morell is the founding president of the Weston A. Price Foundation and founder of A Campaign for Real Milk. She is the author of the best-selling cookbook, Nourishing Traditions (with Mary G. Enig, PhD) and the Nourishing Traditions Book of Baby & Child Care (with Thomas S. Cowan, MD). She is also the author of Nourishing Broth (with Kaayla T. Daniel, PhD, CCN). ______________________________________________________________________________________________ Mary G. Enig, PhD, FACN, CNS, is an expert of international renown in the field of lipid chemistry. She has headed a number of studies on the content and effects of trans fatty acids in America and Israel and has successfully challenged government assertions that dietary animal fat causes cancer and heart disease. Recent scientific and media attention on the possible adverse health effects of trans fatty acids has brought increased attention to her work. She is a licensed nutritionist, certified by the Certification Board for Nutrition Specialists; a qualified expert witness; nutrition consultant to individuals, industry and state and federal governments; contributing editor to a number of scientific publications; Fellow of the American College of Nutrition; and President of the Maryland Nutritionists Association. She is the author of over 60 technical papers and presentations, as well as a popular lecturer. She is the author of Know Your Fats, a primer on the biochemistry of dietary fats as well as of Eat Fat Lose Fat (Penguin, Hudson Street Press, 2004). She is the mother of three healthy children.

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