By Sally Fallon Morell
Japanese Translation by Katsumi Yamada
今から60年以上前、クリーブランドのウェストンA.プライスという歯科医が、その後の10年間彼の関心とエネルギーを注ぎ込むことになる独自の調査行に 出る決意をした。 探求心と信仰を持つプライスは、彼の患者の口を覗き込んでみえるものに怪訝な思いでいた。
診 察を受ける大人の患者で酷い虫歯の無い人は滅多におらず、その多くが関節炎、骨粗鬆症、糖尿病、胃腸の調子が悪いとかいつも疲れやすいというように体の 他の部分に深刻な問題を抱えていた。(プライスの当時はこれらを神経衰弱と呼んでいた。) だが、彼が最も気になったのは若い患者の歯並びだった。 ぎっしりと乱杭のような歯を持った子、それが上顎の反り、細い顔、未発達な鼻、頬骨がはっきりしない、摘み上げたような鼻先等顔の変形と共に非常に増えて きていたのだ。 このような子供達は、例外なく1990年代のどの母親も訴える症状、つまり、病気に罹りやすい、アレルギー、貧血、喘息、弱視、不器用、 疲労、行動異常、を一つ二つは患っていた。 プライスは、このような身体退化は神の思し召しではないと信じていた。 むしろ、創造主は全ての人間が完璧 で、子供達は苦痛とは無縁に成長することを意図していたと信じる方だった。
プライスは、当惑の中から素晴らしいこと を思いついた。 それは、文明と接触のない世界中の孤立した人々を訪ねて、彼らの健康と身体の発育を調べるというものだった。 彼は、スイスの孤立した 村、スコットランド沖の離島へと調査の足を運んだ。 エスキモー、カナダの部族インディアン、フロリダのエバーグレード、南海諸島の人々、オーストラリア のアボリジニー、ニュージーランドのマオリ族、ペルーやアマゾンのインディオ、アフリカの部族を調査した。 近代文明から孤立した所がまだ存在したときに 行われた調査だが、それを文明の利器の一つであるカメラが彼の調査した人々を永久に留めることを可能にした。 プライスの写した写真や発見したことの記 述、そして彼の驚くべき結論は、その後を受け継いでいる栄養学研究者の多くが最高傑作と考えている本:「食生活と身体の退化(Nutrition and Physical Degeneration)」に収められている。 しかし、この古代の知恵を集約したものは、今日の医学界にも親たちにも全く知られていない。
「食生活と身体の退化」は、 世界観を変える本である。 形良く気高い幅広のいわゆる未開と呼ばれる人々の均整の取れた顔写真を見れば、最近の子供達の発育に問題があることは、誰でも 気付く。 プライスが訪れた孤立した地域全ての部族や村では、事実上全員が真に完成した身体が見られる。 このような人達の間では虫歯は稀で、乱杭歯や不正咬合-これでアメリカの矯正歯科医がヨットや別荘をもてる-は、全くない。 地元民は、例外なく明るく て楽観的であることに気付いたプライスは、次々と美しい笑顔の写真を撮っている。 このような人達は、身体の発育がとても良く、ほとんど病気がなく、それ がたとえ非常に厳しい環境で暮らしている場合でも変わらないのだ。
未開人が、完璧に近い身体ときれいに一直線に並んだ歯を持っているとい う事実は、当時、他の研究 者には知られていなかった。 当時受け入れられていた説明によると、これらの人達は人種的に混ざりっけが無いためで、顔かたちが悪くなるのは人種混合のせ いだというものだった。 プライスは、この理論が間違っていることを知った。 彼が調査した人々の中には、人種的に近いグループの傍で暮らしている場合も 多かった。 そして、このグループは商人や伝道師と接触を持ち、伝統食を捨てて、プライスが近代商業の食品もどきと呼ぶ、新しくできた店で手に入る砂糖、 精白穀物、缶詰、殺菌牛乳、加工した脂肪や油に変えてしまっていた。 この人達には、虫歯や感染症、退化症状が酷かった。 いわゆる文明食を取り入れた両親から産まれた子供は、形の悪い乱杭歯で顔が細く骨格が歪んでおり免 疫力が低かった。 プライスはこのような変化と人種とは関係がないと結論した。 子供達に起こった身体の退化は白人の食事を取り入れた土着の両親から産ま れたもので、人種の交じった子供達で親が伝統食を食べている場合は、均整の取れた幅の広い顔を持ち歯は真っ直ぐだった。
プライスが調査し た健康な未開人の食事は、それぞれ全く違っていた:プライスが最初に調査を開始 したスイスの村では、住民は豊富な乳製品が主食だった。 無殺菌牛乳、バター、クリーム、チーズ、固いライ麦パン、稀に肉、骨のスープ、短い夏に栽培でき る僅かな野菜。 子供達は歯を磨くことを知らない。 その歯は緑色の粘っこいもので覆われていた。 それでも、プライスが虫歯を見たのは約1%のみだっ た。 プライス博士と奥さんが寒くて厚いウールのコートを着ずにはいられなかった時に、子供達は凍てつくような川に裸足で入っていった。 それでも子供の 病気は事実上皆無、そしてかつてこの村には肺炎が一例も存在しなかった。
スコットランド沖の離島に住む頑強なフランス系の漁師は、乳製品 を全く食べない。 魚が主食で、 オーツの粥と菓子にした燕麦(オーツ麦)を一緒に食べる。 オーツと魚の肝臓を魚の頭に詰めたものが伝統食で子供には非常に貴重だと考えられていた。 エ スキモーの食事は、魚、魚の卵、アザラシの脂や膀胱を含む海棲動物がほとんどで、エスキモーの母親は、病気や虫歯のない頑丈な子供を次から次へと産む事が 出来た。 カナダ、エバーグレード、アマゾン、オーストラリア、アフリカの筋肉質の狩猟採集民族は、野生動物の特に文明人が避けたがる生殖器、腺、血液、 骨髄、特に副腎を好み、色々な穀物、根菜、野菜、手に入る果物を食べている。
アフリカのマサイのような牧畜部族は、植物由来の食べ物を全 く食べない。 肉、血液、ミルクのみ だ。 南海諸島の人々やニュージーランドのマオリ族は、あらゆる海産物-魚、鮫、蛸、貝、ナマコを豚肉と脂、そしてココナッツ、マニオック、果物などの植 物を食べる。 孤立した人達は海産物が手に入るときはいつでもそれを食べた。 アンデスの高地に住んでいる部族インディアンでさえそうだった。 これらの 人達は、特に魚の卵を大切にし、アンデスの非常に山奥の村に住む人達は乾燥したものを手に入れていた。 どんな人種や気候条件であっても健康な人達の食べ 物は、自然のままの全体食-肉は脂も生殖器も共に、全乳、魚、昆虫、無調整穀物、芋類、野菜、果物-で、 白砂糖、精白小麦、腐って化学的に変質した植物 油などの新奇な作り物の食べ物ではない。
ウェ ストン・プライス博士の写真は、伝統食の両親と生命力を失った”文明食”の両親から産まれた子供達の顔の作りの違いを明瞭に示している。”未開”のセミ ノール族の女の子(左)とサモアの男の子(左から3番目)は、均衡のとれた顔をしており歯列弓に充分な大きさがある。 ”文明化”したセミノール族の女の 子(左から2番目)とサモアの男の子(右)は、両親が伝統食を捨てた後に産まれており、顔が細く乱杭歯で病気への免疫力が低い。
プ ライスは原住民の食べ物をクリーブランドの自宅に持ち帰って研究室で調べている。 そして、分かったことは、これらの食事には当時のアメリカ人の食事に比 べて少なくとも4倍のミネラルや水溶性のビタミンCやビタミンB群が含まれていることだ。 工業的農業によって疲弊した土壌では、プライスが生きていたな ら、間違いなく1990年代の食べ物との差がもっと大きくなっていることが分かっただろう。 その上、伝統に生きる人達の場合、穀物や根菜はビタミンが増 加しミネラル摂取量が増えるような調理-水に浸す、発酵させる、発芽させる、サワードウ(酸っぱいパン種)を使う-が行われていた。
プラ イスが非常に驚いたのは脂溶性のビタミンを分析したときだった。 健康な原住民の食事は、当 時のアメリカ人の食事よりも少なくとも10倍のビタミンAとビタミンDがあった。 これらのビタミンは動物性脂肪-即ち、バター、ラード、卵の黄身、魚 脂、そして繊維質の多いレバーやその他の内臓、魚の卵と貝-にしかない。
プライスは、脂溶性ビタミンを蛋白質、ミネラル、ビタミンなどの栄養分を同化するための触媒、または活性剤と考えた。 つまり、動物性脂肪の食事成分がなければ、他の栄養素が全て排泄されてしまう。
プ ライスは、ビタミンAやD以上に栄養吸収を強化する脂溶性ビタミンがあることを発見した。 これを活性要素Xファクターと呼んだ。 プライスが調査した健 康な全ての人達の食事中にXファクターが入っていた。 原住民が神聖であるとしていたタラの肝油、魚の卵、内臓、春と秋に急速に育つ若草を食べた牛の出す 黄色みの濃いバターなどの特別な食べ物に含まれている。 雪が溶けて牛が村の上の豊かな放牧地に登れるようになると、スイスではこうして取れたバターを ボールに一杯教会の祭壇にお供えして芯を浸して火を点ける。 マサイは、枯れた草原に火を点けて牛が食べるための新しい草が生えるようにする。 狩猟採集 民族は、常に獲物の内臓を時には生で食べる。 肝臓は多くのアフリカの部族に崇められている。 エスキモーや多くのインディアン部族は、魚の卵に特別の価 値を置いている。
プライス博士は、健康な原住民が動物性の蛋白質や脂肪が含まれる食事をとっている場合、いつも明るく、前向きな考え方をしているのを見出している。 刑務所や救護院の収容者は、妊娠中の栄養欠陥を表す顔面に歪みのあることを記述している。
X ファクターが豊富な食べ物の治癒力は、第2次世界大戦前に認められている。 プライスは、ビタミンが豊富な春と秋のバターの役割は、不思議なほどで、特に 僅かな量のタラの肝油が食事に付け加えられたときはすごいと述べている。 彼は、高ビタミンバターを肝油と共に用いて、骨粗鬆症、虫歯、関節炎、くる病、 そして子供の成長障害に対し大変な治療効果を上げている。
他の研究者も、このような食品を呼吸器系の肺炎、喘息、アレ ルギー、肺気腫といった病気に用いて大変効果を上げている。 この一人にフランシス・ポッテンジャーがおり、彼のカリフォルニアにあるモンロビアの保養所 では、レバー、バター、クリーム、卵を大量に回復期の患者に与えていた。 また、副腎皮質を消耗の治療に補助的に与えていた。
プ ライス同様、ポッテンジャーも研究者だった。彼は、猫に副腎切除を行い患者用に準備した副腎皮質抽出物を与えてその効果を試験した。 不幸にも、多くの猫 が手術中に死んでしまった。 彼は、生のミルクと生の肉を与えるグループと殺菌したミルクと熱を通した肉を与えるグループの実験を構想した。
そ して、完全に生の食事を与えられたグループの猫だけが副腎切除術で生き残ることが分かった。 また、研究が進むにつれて、全て生食の群だけが何世代も健 康ですばらし骨格を持ち寄生虫や害虫がつかず、楽なお産をし性格がおとなしい事が分かった。 少しでも熱を加えた食事を与えられた群は、顔の形が変わり、 プライスが近代商業の食べ物もどきを食べた人の群に見出した細面、乱杭歯、脆い骨や脆弱な靱帯と全く同じ種類の症状が見られた。 これらの猫は寄生虫に悩 まされ、様々な病気に罹り妊娠も不順だった。 雌猫は攻撃的になり雄猫はおとなしくなった。 たったの3世代で、子猫は成長せずに死に絶えてしまった。
ポッ テンジャーの猫の実験は、良く誤解される。 人は猫ではないので生のものだけを食べればよいと いう意味ではない。 プライスが調査した健康な人達は、食事の一部を調理していた。 (乳製品は何処でも生で消費していた。)ポッテンジャーの見出したこ とは、プライスの調査の内容の中で捉えるべきで次のように解釈ができる;人の食事が顔の変形-継代的に顔が細くなって歯並びが悪くなる-をもたらす場合、 その食事を何代も続けるとその家系は絶えてしまう。 西洋文明の影響-精製して甘みを強くしたコンビニ食品と低脂肪食品等-は深刻だ。
ウェ ストン・プライスの研究は、誤解よりも無視される事が多かった。 権威ある保健医学会が動物 性の飽和脂肪とコレステロールを有害視する国、自動販売機が学校の備品になっているような国では、砂糖と精白小麦の害を警告したり、子供にタラの肝油を食 べさせるべきだ、バターが最高の健康食品だという辻説法師のような歯医者のいうことを聞く者が居るだろうか。
プライスが忘れられれば忘れ られるほど、科学誌に出てくる研究発表が彼の正しさを証明するのは皮 肉なことだ。 今では、ビタミンAが先天奇形を防ぐためや成長と発育のために、そして免疫系の健康さや全ての腺の正常な働きのために必須であることが分 かっている。 学者はビタミンAの先駆体である植物性カロチンが幼児や子供ではビタミンAに変換できないことを発見している。 それなのに栄養学の権威あ る専門家は、低脂肪食を子供達に押しつけている。 糖尿病の人や甲状腺疾患のある人はカロチンを脂溶性のビタミンAに変換できないのに、糖尿病患者と元気 のない人に動物性脂肪を避けるように言っている。
科学文献ではビタミンDが骨の健康や正常な成長と発育だけでなく、大腸癌、メニエル氏病、生殖器の病気を防ぐのに必要だといっている。
鱈 の肝油は優れたビタミンD源である。 鱈の肝油にはEPAとDHAという特別な脂が含まれている。 EPAは血液が固まるのを防ぐ成分を作り、数え切れな いほどの生化学プロセスを調整する成分を作る。 最近の研究では、DHAが脳や神経系の発育に必須であることが分かってきた。 胎児の網膜が形成するため には母親の食事中に適量のDHAが必要である。 母乳中のDHAは学習不適応を防ぐことが出来る。 鱈の肝油やレバー、卵の黄身のような食べ物が胎児の発 達に、幼児の発育に、子供の成長にこの必須栄養素を供給できる。
バターは色々な栄養素の他にビタミンAとDを含んでいる。 乳脂肪中の共役リノレン酸は、強力な癌抑制力を持つ。 グリコスピンゴリピッドと呼ぶ特殊な脂肪は消化を助ける。 バターは、微量要素が豊富で自然に黄色くなる春と秋のバターにはXファクターが含まれている。
動 物性の飽和脂肪は、大敵とされているが、細胞膜の重要な部分を形成しているまた、免疫システムを守り必須脂肪酸の利用を高める。 脳や神経系の正常な発達 に欠かせない。 特定の飽和脂肪は、速効のエネルギー源であり消化器系で病原微生物に対する防護の役割を果たし、心臓のエネルギーになっているものもあ る。
コレステロールは幼児の脳や神経系統の発達に欠かせないもので、母乳には豊富に含まれているのみ ならず、消化器でコレステロールの吸収を助ける特殊な酵素が含まれている。 コレステロールは、体の修復成分で、虚弱やイライラのために血管に損傷が発生 したとき、コレステロールがやってきて動脈瘤を防ぐ。 コレステロールは強力な抗酸化物質で癌から体を守り、脂肪の消化に必要な胆汁の前駆体(これからス トレスを処理したり性的機能を司る副腎のホルモン)が形成される。
科学論文では、植物油のポリ不飽和脂肪-健康によいと思われている種類 -の危険性についてもはっ きり述べられている。 ポリ不飽和脂肪は極めて酸敗し易いため体のビタミンEやその他の抗酸化物質の要求量が増える。(菜種油は特にビタミンE欠乏を起こ しやすい。) 植物油を過剰に摂取すると生殖器や肺に特別害があり、アメリカではこれらの癌が激増している。 実験動物では、植物油からのポリ不飽和脂肪 は学習能力を阻害し、特にストレスがあるとその害は著しい;肝臓に対する毒性を持つ;幼児の心と体の成長を抑制する;血中の尿酸値を上げる;脂肪組織に異 常な脂肪酸層を作る;精神的退化や染色体損傷と結びつけられている;老化を早める。 ポリ不飽和脂肪の過剰摂取は癌、心臓病、肥満の発生率が高くなること と関係がある;市販植物油を大量摂取するとプロスタグランジン-局部組織ホルモン-の生産を妨げ自己免疫疾患、不妊、PMSなど数多くの症状が出てくる。 植物油は加熱すると毒性が増す。 ポリ不飽和脂肪は腸内でニスに代わるという報告がある。 整形外科医が行った調査では植物油を主体に使う女性は伝統的 に動物性脂肪を使う女性よりも遥かにシワが多いという結果が出ている。
ポリ不飽和油がマーガリンやショートニングを作るために水素化と呼ばれるプロセスで固められると癌、生殖障害、子供の学習障害や成長阻害という2重の問題が起こる。
ウェ ストン・プライスの貴重な研究がもし全国民に認められれば、食品加工とそれを支える精製甘味料、精白小麦粉、植物油の3業界-アメリカ最大の産業が破綻す るため、忘れ去られたままにされている。 この産業界の経営者達は、飽和脂肪とコレステロールが心臓病や癌を引き起こすという根拠のない巨大な脂質仮説の 虚像理論を舞台裏で作り上げた。 それが真実でないことは統計を見れはすぐ分かる。 20世紀に入った頃のバター消費量は18ポンド/人/年あり、植物油 はほとんど存在しないに等しかったのに癌や心臓病は稀だった。 現在バター消費量は年間一人当たり4ポンド内外に留まっている一方、植物油の消費量は激増 し癌と心臓病は蔓延している。
ウェ ストン・プライス博士は、健康な部族は妊娠前の両親と妊娠中そして成長期の子供達に特別の食べ物を与えている事を発見した。 彼が分析したところ、この食 べ物はバターや魚脂のような動物性脂肪にしかない脂溶性の栄養素が著しく豊富であった。妊婦と育ち盛りの子供に栄養豊かな食べ物を与える”未開人”に共通 する伝統は西洋医学を凌ぐものである。
この研究が示す真実は、精製した炭水化物と植物油は、血液と 細胞レベルで血液の固まりが出来やすくなるようなバランスを欠いた状態になり心筋梗塞につながるということだ。 このような心臓病は1900年のアメリカ にはほとんど存在しなかった。 現在では流行病に近くなっている。 アテローム硬化症(血管壁に硬化した厄介者が堆積する病気)は、飽和脂肪やコレステ ロールのせいではない。 この厄介者にはコレステロールは殆どない。 1994年のランセットに掲載された研究では、血管を詰まらせる脂肪の3/4は不飽 和脂肪であると報告されている。 血管を詰まらせる脂肪は、動物性脂肪ではなく植物油である。
脂質仮説全体に織り 込まれているのが、我々の先祖の伝統食-バター、クリーム、卵、レバー、肉、魚卵などプライスが優秀な身体を作るのに必要だと認めた-は、毒だという前提 である。 様々な謀略によってこの概念が一般の意識に埋め込まれた。 全米コレステロール教育プログラム(NCEP)はその最たるもので、この期間中皆さ んの税金を使ってコレステロールと心臓病をセットにした情報をアメリカ中の医者に送っている。
アメリカ薬剤師協会がこの大規模キャンペー ンの推進委員をしていたので、セット情報に血中コレ ステロールの検査法と危険域-(200ml/dl以上の人と勝手に決められたが大多数の成人はこのレベルにある)-のコレステロール患者に処方する薬が医 師に対して指示されていたのは驚くにはあたらない。 医師は、危険域のアメリカ人に対する飽和脂肪とコレステロールの少ない用心深い食事についての指示を 受け取った。 しかし、このような食事は心臓病予防に何ら効果がないという研究結果が出ていた。 それどころか、癌、消化器病、事故、自殺、心臓発作によ る死亡の危険性が高くなった。 NCEP情報にはバターをマーガリンに代えなさいという特別な勧告が入っていた。
ウェストン・プライスが どうしたら子供達に優れた健康を授ける事が出来るかを学ぶ方法として工 業化されていない孤立した人々の研究を着想してから2世代を経た1990年には、全米コレステロール教育プログラムがこの予防食を2歳以上の全てのアメリ カ人に対し勧告した。 この食事の利点は、人生の後半で心臓病のリスクを減らす筈だというものだが、このような仮説が信憑性があることを示す研究論文は一 つもない。 科学論文が言っているのは、子供の低脂肪食-つまり動物性脂肪が植物油にとって代わった食事-では、背が高く強くなることはなく学習障害、感 染症に罹りやすく行動異常の原因になっているという。 このような食事を守る10代の女性は生殖障害が起こる危険性がある。 妊娠できたとしても、低体重 児や奇形児を産む可能性が高い。
こ の美しい二人の女性は、成長期に適切な栄養をとっていなかった母親から産まれた。 しかし、妊娠中に栄養豊富な食事をとり、娘に動物性蛋白、全乳製品、バ ター、全粒穀物、新鮮な果物と野菜そして鱈の肝油を与えることによって身体退化の傾向を克服している。 この食事によってこれらの女性は、遺伝子の持って いる最高の能力に到達することが出来ている。 二人の母親はどちらも歯並びが悪いが、二人の娘達は、矯正の必要のない真っ直ぐな歯をしている。
この愚考に較べて、子供の健康を守ることに関するいわゆる未開の知恵は、ウェストン・プライスと彼の本の読者に畏敬の念を抱かせるものだ。 彼は、部族 -特にアフリカと南太平洋の-は、妊娠する前の若い男女、妊娠中と授乳中の女性、そして成長期の子供達に特別な食べ物を与えているのを何度も見ている。 特別な食べもの-肝臓、貝、内臓、黄色の濃いバターなど-を分析して、ビタミンA,D、Xファクターの脂溶性活性化物質が極めて豊富であることを発見して いる。 特にミネラルを多く含む粟やキノアなどの水に浸した穀物を授乳中の女性に食べさせて乳の出を良くしている。
また多くの部族は、母 親が蓄積栄養を回復し次に産まれる子供が最初の子と同じに確実に健康になるように子供をもうける間隔を空けている。 一夫多妻制に よって行ったり、一夫一婦制の場合には意識的に避けることによって行っている。 同じ母親から産まれる子の間隔は最低3年間は必要と考えられており、これ より少ないと両親は恥とされ、村の非難に甘んじなければならない。
これらの部族グループが若者に施す教育には、未来の子供達の健康を確かにすることや常に食べ物を得る困難な状況で部族が生き延びる方法としての食事の知恵や、戦闘的な隣人に対する防衛の方法などが含まれる。
平 和で物に溢れた時代に生きる現代の両親は、見極めと洞察という全く違った課題に直面している。 つまり、自分や家族のために食べ物を選ぶには誇大広告と 真実を見極めなければならない;子供達が遺伝的遺産を完全に発現することを妨げるような近代商業の偽物製品-砂糖、精白小麦粉、植物油、私達の祖先の栄養 豊かな食べ物を模倣した商品;マーガリン、ショートニング、卵もどき、肉もどき、煮出し汁もどき、代用クリーム、プロセスチーズ、工業畜産の肉、工業手法 で生産された植物、蛋白粉、悪くならない包装食品-を見抜いて子供達を守るための洞察力が必要である。
未来の健康な子供達のために-全て の未来のために-私達は教育された医療権威者の食事指導に背 を向けて、未開と呼ばれる祖先の食べ物の知恵に戻らなければならない。 有機的に栽培し、人道的に飼育し、加工は最低限に留め、何よりも、なくてはならな い脂成分が奪われていない伝統的な全体食品を選ぶことだ。
子供の間隔が適切に空けられ、妊娠前の両親と産まれた子の成長と発育期の食事に気を付ければ、その家庭の子供達はみんな手が掛からずに子供時代が過ごせ、健康に恵まれ、成人後に必要なエネルギーと知性を最善かつ最高に発揮できる。
ゥ 1999 サリー・ファロン. 著作権.
Journal of Family Life誌に初めて掲載 (518) 432-1578
「食生活と身体の退化(Nutrition and Physical Degeneration)」の日本語版は、下記の所から入手できます。
郵便番号561 豊中市岡町北3-1-20 豊歯会 定価 9、500円 送料 450円
電話番号: 06-6852-4130
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